カメラについて

 カメラの選択は、どのような目的でどのような被写体を撮るかによって変わってきます。大雑把に言うと、ブログやSNSなどに掲載するならスマホを含めたデジタルカメラがいいし、プリントの紙質にこだわったり白黒写真をやるなら、フィルムカメラの方がいい場合もあります。紹介するカメラは一眼レフ中心になっていますが、ここに掲載したものでなければならないということではありません。ミラーレス一眼の場合は、イメージセンサーのサイズが4/3サイズよりもAPS-Cやフルサイズのものがお奨めです。また、カメラの重量と性能は概ね比例します。軽い(機動性の高い)ものは何かを犠牲にしています。
 よいカメラがあればよい写真が撮れるというわけではありません。被写体によっては、コンデジやスマホで十分な場合もあります。しかし、写真を勉強する上では、よい道具を使いこなすということも大切なことです。
 ここでご紹介するカメラのいくつかは教室にありますので、レッスンの中でお試しでお使いいただくことができます。

Sony α7<フルサイズミラーレス一眼カメラ>(レンズは、Sony FE 50mm F1.8)
 ミラーレス一眼なのでとても小さくて軽いのですが(416g) 、画質を左右するイメージセンサーは高級機並みのフルサイズです。ミラーレスゆえの機動性(軽さとコンパクトさ)とフルサイズゆえの高画質を両立したカメラといえます。2017年現在、フルサイズの中では最も安価に手に入るカメラです。
 特筆すべきは「MFアシスト機能」で、マニュアルフォーカスのときに高精細な液晶画面に画像の一部を拡大することで細部のピント合わせができます。これは、ミラーレスの欠点を補うもので、マニュアルでも楽にピント合わせができます。また、カメラ内でセンサーサイズをAPS-Cに変更することも可能で、ソニーのAPS-Cデジタルカメラ用のレンズも使用できます。
 欠点は、ミラーレスなので液晶を常時点灯させるためバッテリーの消費が早く、オートフォーカスの合焦速度はキヤノンに比べると若干遅く感じます。また、キャノンorニコンの一眼レフに比べると、交換レンズの種類が少ないのは否めません。
 それでも、軽い・小さい・高画質・使いやすい・値段安い、と何拍子も揃った贅沢なカメラです。またこれより下位機種でも、使いやすいMFアシスト機能とセンサーサイズ(全てAPS-C以上)にこだわったSONYのミラーレス一眼は、特に初心者の方にお奨めです。[2017年2月14日]

Canon EOS 6D<フルサイズデジタル一眼レフ>
 フルサイズのデジタル一眼レフとしては、コンパクトで軽量で価格も比較的安く、非常にコストパフォーマンスが高いカメラです。
 シャッターは最高1/4000秒まで、連続では4.5コマ/秒、ストロボ同調最高速度は1/180秒、ファインダー視野率は97%と、中上級一眼レフとしては全て平凡なスペックですが、実用上は必要充分なレベルです。それにも増して、この軽さ(755g)と小ささは撮影時には本当に楽で有難く、しかもフルサイズの高画質が享受できます。フルサイズゆえに、キャノンの豊富な交換レンズが使用できます。EF85mmf1.8の中望遠レンズでポートレートを撮ると、非常にバックのボケ具合を美しくコントロールできます。これは、フルサイズセンサーの特権で、APS-C以下のカメラでは絶対に得られません。最近では当たり前になってきましたが、無線LAN(Wi-Fi)付なので、撮影した瞬間にパソコンやスマホなどに画像を転送して大画面で同時に確認できるのもとても便利です。
 私はメインカメラとしてもう3年以上使っていますが、これ以上のカメラはいらないと思えます。[2017年2月14日]

Canon New F-1 <35mmフィルムマニュアルフォーカス一眼レフ>
 80年代〜90年代前半にかけて最も広くプロカメラマンに普及した、キャノンのかつてのフラッグシップ機です。"ブライトレーザーマット"というフォーカシングスクリーン(ピントを合わせるために画像を映すスクリーンのこと)は、大変明るくてマニュアルでのピント合わせがとてもやりやすいです。ファインダー視野率は97%で、覗いたときとフィルムに写る画像のずれは最小限のレベルです。
 フォーカシングスクリーンを交換することで、狭い範囲でのスポット測光が可能になります。これはマニュアルで露出を測るときにはとても便利です。ペンタプリズム部(ファインダー)を交換することによって、絞り優先オートも可能になります。露出計はクラシックな指針と追針を合わせる方式で、一目で露出のずれを定量的に把握できます。
 シャッタースピードは、高速では機械式で低速では電子シャッターがコントロールします。電池が無くても一部機械的にシャッターが切れます。巻き上げレバーは独特のゴツゴツした堅さがありますが、古い精密機械のようで私は好きです。重厚感のある頑丈な金属ボディは、人によっては重く感じられるかもしれません(805g)。
 往年のライカのようなコレクター的価値はありませんが、実用的な道具としての使いやすさと耐久性は高いレベルにあります。最近では信じられないほど中古価格が下がり、コストパフォーマンスはかなり高いです。
 20代の頃に初めて自分で選んだカメラで、愛好堂カメラさんで中古で買った時は嬉しくて枕元に置いて寝ました(^^)。これまでさんざん長く使って来て、最も思い入れのある大好きなカメラです。[2013年2月9日]

Nikon New FM2 <35mmフィルムマニュアルフォーカス一眼レフ>
 数年前まで生産されていましたので設計は比較的新しく、シャッタースピードも1/4000秒までありストロボも1/250秒まで同調します(この部分はキャノンNew F-1やニコンF3より高性能です)。完全機械式のマニュアル一眼レフカメラなので、電池が無くても通常どおりシャッターが切れます。シンプルなつくりの小さめのボディは540gと軽く、巻き上げレバーもとても軽快です。
 露出計は赤い発光ダイオードで+−を知らせてくれるので、暗い状況でも大変合わせやすいです。測光方式は、ニコン伝統の中央部重点式です。ファインダー視野率は約92%なので画像に多少のずれはありますが、このクラスでは標準的なレベルと言えます。ファインダーがやや暗いのが欠点ですので、選ぶときは実際にファインダーを覗いてみて、できるだけ周辺部の黒いくすみが少ないものを選んでください。FM3a用の明るいフォーカシングスクリーンと交換することもできます。
 軍艦部(上の金属部分のこと)がシルバーのものとブラックのものがあります。中古価格も手頃で、フィルム好きの初心者にまずお奨めしたい信頼できるカメラです。[2013年2月9日]

Canon EOS 7 <35mmフィルムオートフォーカス一眼レフ>
 子供や動物など動きの速い被写体を撮影するなら、オートフォーカスが便利です。このカメラは、最近のEOSデジタルとほぼ同じ使い勝手で、ボディー背面右のサブ電子ダイヤルで絞り値や露出補正をすばやく調整できます。これはマニュアル露出や絞り優先・シャッター優先オートで撮るには、大変使いやすいです。
 オートフォーカスのスピードは充分ですが、暗い被写体の場合は最近のデジタル一眼EOS 60Dと比較すると少しスピードが落ちます。"視線入力"でフォーカスフレーム(測距点)を選択することもできますが、私はマニュアルで確実に選択しています。
 最大の欠点は、ファインダーに充分目をくっつけないと見にくいので眼鏡をかけると使いにくいことと、ファインダー視野率があまりよくないことです。上下90%左右92%なので、見えた範囲よりも広めに写ります。
 ボディは一部金属を使用していますがとても軽量(580g)で、EOSデジタルとレンズを共用することができます。後発でマイナーチェンジのEOS 7sというのもありますが、中身はそれほど変わらず値段が少し高いので、こちらのEOS 7で充分でしょう。キャノンの豊富なEFレンズが、デジタルと共用できるのも有難いです。[2013年2月9日]

Canon EOS 60D <APS-Cサイズデジタル一眼レフ>
(レンズは、Canon EF-S 17-55mm F2.8 IS USM)
 使用していて何ら欠点が思いつかない熟成された完成度の高いカメラです。画質は感度(ISO100〜6400まで設定可能)を上げてもノイズが少なく、オートフォーカスも高速で信頼でき、露出補正などもすばやくサブ電子ダイヤルで調整できます。ファインダーは見やすく、視野率は約96%と充分です。液晶モニターが開いて色々な角度に変えられるバリアングルなので、液晶に画像を表示させて撮影するライブビュー時には大変便利です。自分撮りやハイアングル・ローアングルでは威力を発揮します。液晶の画質も高精細で、メニュー表示もわかりやすく直感的に操作できます。画像サイズや圧縮率が、RAW・JPEGそれぞれの保存形式ごとに細かく設定できるのは大変ありがたいです。
 唯一の欠点は動画撮影機能でしょうか。動画撮影時には強制的に液晶のライブビューになりますので、マニュアルではピントが合わせにくく、オートフォーカスではスピードがかなり遅くなります。マイクの音質は良くないので外部マイクをつないだ方がよく、動画機能はおまけ程度のものと割り切った方がいいでしょう。
 組み合わせるレンズですが、せっかく高性能なボディーでも、キットの安価なズームレンズではF値が暗くてカメラの性能を充分に引き出せません。少し奮発して、CanonのEF-S 17-55mm F2.8 IS USMとの組み合わせがお奨めです。このレンズは、望遠時でもF2.8のままで明るく、APS-Cサイズ専用レンズなので高性能の割には安価です。手ぶれ補正機能もついています。ちょっと大きめですが、これ1本あればほとんどのシチュエーションをカバーできます。あるいはかさばるのが嫌なら、コンパクトな単焦点レンズのEF28mm F1.8 USMとの組み合わせもいいでしょう。レンズは中古で充分です。
 これまた、非常にコスパの高い初心者・中級者向きの1台です。[2013年2月9日]

 選ぶときはスペックを考える以上に、実際にお店で触って覗いてピントや露出を合わせてシャッターを切ってみてください。また中古カメラの場合はお店選びが大切です。信頼できるお店で、必ず保証付きのものを選んでください。
 教室ではカメラのご購入にあたり、機種選びやお店選びも含めて詳しくご相談させて頂きます。